令和2年度 大乗淑徳学園入職式メッセージ
長谷川 匡俊
本日、ご縁あって本学園に入職された皆さまを、学校法人を代表して心から歓迎申し上げます。今日からは、校祖・輪島聞声先生、学祖・長谷川良信先生の大乗仏教の「建学精神」の旗の下に、同志として、学園の目指す教育・研究・社会貢献等の理想実現に向かって、共に挑戦していこうではありませんか。
皆さまをお迎えし、本学園ならではの仏式音楽法要による入職式を予定しておりましたが、新型コロナウイルスの感染拡大が止まず、加えて都内の感染状況の悪化が報じられるなか、学園としては、関係各位の健康と安全を守る立場から、本日の式典を中止することとしました。
音楽法要の中で歌われる聖歌には、建学の精神である大乗仏教の根本思想が凝縮されて息づいていると言ってもよいほどです。折角の機会ですので、ここで一つだけとりあげて紹介します。最初の「帰敬文(ききょうもん)」です。
「人身受け難し、今すでに受く、仏法聞き難し、今ここに聞く、この身今生において、度せずんば、さらに何れの生においてか、この身を度せん、至心に三宝に帰依し奉る」とあります。人間としてこの世に生を受け、今こうしてあることを「あたりまえのこと」ではなく「ありがたいこと」と受けとめられたとき、そして仏法に出逢ったとき、人の生き方は変わるものです。このいのちの尊さというものを、いかに実らせたらよいものかが問われるでしょう。まさに教育の原点です。
数年前にハッと気が付いたことがあります。学祖長谷川良信先生作詞の淑徳大学歌の一番には、「ああ人の世に幸受けて、生い立つ我ら若人が、天地の恩に覚むる時、誰か奉仕を思わざる」とあります。この一句には学祖の思想の核心(「感恩奉仕」)がこめられていますが、さきほどの「帰敬文」の文意と一脈相通じるものがあり、我が意を得たりとの思いを強めています。
今、世界は先行き不透明・不確実・不安定・不安全さを露呈しています。その混迷の原因は、突き詰めれば人間のしわざです。それだけに教育の現場には、人間を超えたみほとけの世界からの眼差し、揺るぎなき理念が求められます。皆さまには、私がただいま申し上げたこと、またお手元に届けられる各種資料をご一読いただき、参考にしていただければ幸いです。
結びになりますが、学園は、2016 年に「大乗淑徳学園グランドデザイン」を発表し、18 年度から中期5 か年計画を実施しております。一方で、目下、東京・埼玉・千葉の一都二県6 キャンパス、11,000 名余の学生・生徒・児童・園児と600 名を超える専任教職員を擁す学園の将来像を、長期的には150 周年までをも視野に入れて各種シミュレーションを行い提起させていただきました。理事長としては、法人役員・教職員皆さまのご理解・ご協力の下に、不断のPDCA サイクルを稼働させつつ学園の発展に全力を尽くしてまいります。
新入教職員の皆様の今後のご活躍を心からご期待申し上げ、歓迎のご挨拶といたします。